読書日記 魔と美と余白

読書のことだけ綴っていく

成長ではなく行為を楽しむ大切な読書の時間

読書を趣味にすること。

 

私は、本を読むという行為を一日中することができる。

 

朝起きて、朝食をとり、読書開始。

お腹がすいたら昼食をとり、読書開始。

その後も、読書、読書、で、眠くなって就寝。

 

この生活で、果たして良いのだろうか。そんな問いを自分自身にしたくなるときがある。

 

他の趣味であれば、自分自身の成長。たとえば、スポーツ系であれば、できなかった技やタイムが縮むなどの成果をかんじることができる。

 

しかし、読書はどうだろう。

 

本を読むスピードが速くなりたい、本の内容をより深く理解できるようになりたい。

そんな欲求は私の中にはない。

 

自分自身の成長は、ものすごくゆっくりで、あまり目に見えない形なのだろう。

 

それがもどかしくもあり、虚しさであったり、その他の趣味に比べると若干劣るところでもあるのは否めない。

 

しかし、本を読むということ自体が楽しい。

これは他の趣味にも共通していることで、その行為自体を楽しめるかどうかが大切なのではないだろうか。

 

何かしらの行為を楽しめるかどうか。

 

その行為ではなく成長を楽しんでいるとしたら、成長してしまえば楽しくなくなる。

そのような趣味をたくさん経験してきた。

 

読書はというと、先ほども言ったように、成長はゆっくりであり、意識はさほどしていなく、本を読むという行為自体を楽しんでいる。

 

たまに読書をしていてもと考えてしまうことがあるが、楽しいから辞められないし、これからも続けていくだろう。

 

以前よりも、成長や成果を求める読書をしないようになって、純粋に読書を楽しめてきている。

川端康成の魔に触れる

川端康成作品に浸る。

 

みずうみ、眠れる美女、片腕を読了。

 

みずうみは面白かったが、眠れる美女は読み進めたものの、自分の中では広がりがなかった。

 

片腕に関しては、正直理解できない世界だった。

 

この作品はいずれも、魔を感じることができる作品。

 

自分の奥底に感情にノックされたよう。

 

美の追求や美への欲求を感じた。

 

良くなろう、良くしようといったことではなく、かと言って読者に何かをゆだねるような感覚もない。不思議な物語たち。

芥川賞候補 鳥山まこと 時の家 読了

芥川賞を私が決めようということで、「へび」に続いて「時の家」も読み終わった。

 

どちらも面白い。読書っていいね。

 

時の家、好みでした!

 

変えられない思いや曖昧な過去。

登場人物たちの経験が、私の人生とシンクロする。

 

考えさせられたエピソードも何個かあった。

友人の死をふと忘れてしまうような感覚。

別れを選んでしまうような気持ち。上澄みをとった先にある気持ち。

 

いや~しんみりきて、いい読後感でした。

 

芥川賞を受賞しても納得!

2025.12.14 読書日記 プロジェクトヘイルメアリー、へびなど

朝からプロジェクトヘイルメアリーを読む。

宇宙船のこと、エネルギーのことなど、説明部分が長いところがあり、飛ばし飛ばし読む。

SF作品を読むのは初めてな気もする。

映画化されるということで、読み始めたが、SF作品は読むのではなく観る方が良いかも。

原作の方が良かったりするのだが、SF作品ははたして。

 

それから芥川賞候補が先日発表されたので、読むことができそうな作品を読んでみる。

候補の作品は以下のとおり。

1 久栖博季 「貝殻航路」(文學界12月号)
2 坂崎かおる「へび」(文學界10月号)
3 坂本湾「BOXBOXBOXBOX」(文藝冬季号)
4 鳥山まこと「時の家」(群像8月号)
5 畠山丑雄「叫び」(新潮12月号

 

2と4を読み始めて、坂崎かおる「へび」は面白かった。

ネタバレ注意(文字を白色にした)

 

読んだ人の解説をもとめたいぐらい。

これって、母親死んでる?殺された?

祖父の回想シーンで縄を持っていて、これも蛇にみえるけど、父親が持っていたのも縄だったりするのかな。

 

余白が多くて読者にゆだねるパターンは好きなんだけど、これ誰かとなんだかんだ話をしたくなるやつ。

 

受賞しても納得できそう。個人的には前衛的な感じもした。

 

鳥山まこと「時の家」は、序盤の描写が細かくて、読み進むのが少々苦痛になったが、展開してきたので、続きが楽しみ。

 

その他の作品は、そのうち読もうかなと思う。

BOXBOXBOXBOXは、面白そう。

振り返る読書体験

これは誰かに読まれなくてもいい記録かもしれない。
けれど、数年後の自分が読み返したとき、
「ああ、あの頃こんなふうに本を読んでいたんだ」と
静かに思い出せたら、それで十分なのだと思っている。

 

読書を始めたきっかけは何だったのか。

あらためて考えてみると、拍子抜けするほど単純だ。

 

暇だったから。

趣味がなかったから。

 

幼い頃から読むことが好きで、読書はしていた。

 

桃太郎などの昔話に始まり、はらぺこあおむしや押し入れの冒険など、ドキドキしながら読む読書体験は楽しい思い出だ。

 

時代時代で読んできた物語に、どんな感情だったのか、読後に何が残ったのか。

 

フワッとしている思い出で、ノスタルジックに感じるのは良いが、私の今の状況(おじさんになった)では、何か残しておきたい。後から振り返りたいという感情が、むくっと立ち上がったのである。

 

そこで、ブログで残そうと思い立った。

 

読書の感想もそうだし。読書そもそもの考えも綴っていけたら良い。

しかし、読書を趣味にするというのも、少し抵抗がある。

ここの考えはまた機会があれば、書いておきたい。

美意識と死の寓話: 川端康成作品の魅力

川端康成にハマった!

 

あの静かで繊細な文体なのに、心の奥底をえぐられるような描写がたまらない。
語られない余白を埋めるのが本当に楽しい。

 

伊豆の踊子、雪国、死体紹介人、古都、どれも川端の違う顔が見えて、どんどん深みにはまっていく感じがする。

 

雪国は「主人っぽさ」が印象的で、島村の女性に対する距離感や所有欲みたいなものが、読んでて自分の中にも少しあるんじゃないかとドキッとさせられた。

 

駒子への冷たさと情の混ざり具合が、もう芸術的。
読んでいて、主人公のように駒子に接している自分がいた。

 

伊豆の踊子は青春の甘酸っぱさと、ちょっとした優越感や自己演出がすごくリアルで、読むと自分の学生時代を振り返ってしまった。

若かりし来頃に「いい人だね」って言われたい気持ち、痛いほどわかる。

川端自身の実体験がベースだからか、匂いや風景が鮮やかすぎて、旅情もすごい。

偽善なのか孤独を埋めたいのか、若者ならではの揺れ動く心情が痛いほど共感できる。

 

死体紹介人は異色で、川端のダークでグロテスクな一面が炸裂している。

世にも奇妙な物語に採用されそうな話で、純粋に楽しめる。

美と死とエロスが混じり合う感じが、川端の極端な美意識を表してる気がして、驚きと同時にゾクゾクする。

 

そして古都……これが一番心に残った。

千重子と苗子の双子なのに全く違う道を歩む運命、京都の四季と伝統の重み、そして苗子のあの頑なで素直になれない心。

「もっと素直になれよ」って確かに言いたくなるけど、言えないよね。

自然の樹木のように曲がりくねって育った枝の強さと美しさが、苗子の生き方そのもので。

弱さと強さが同居してるからこそ、あんなに胸が締めつけられる。

川端の「物の哀れ」が一番濃く出てる作品かもしれない。

 

ということで、今のところは古都が一番好き。

我が友、スミスを読了からの太宰

我が友、スミス 石田夏穂

 

読了しました。1週間ぐらいかけて、読み終えた。

太宰やら三島やら川端を並行して読んでいて、少し息抜きに読んだ。

 

筋トレの話で、コンビニ人間のような物語を求めて、手に取った。

 

面白かったけど、ボディビルの大会とかの様子が、あ~、物の本質ってね~

そんな印象を持った。

 

刺さる人にはささるのかな。私はそんなタイミングでもなく、それほど刺さらなかった。

 

並行して文豪ナビの太宰を読み始めた。

しかし、合わない感じ。走れメロスの入ってる短編集を読んでるけど、面白くない。

 

併せて、走れメロスのパロディである、「殺人事件に巻き込まれて、走っている場合ではないメロス」も読んでる。どちらも挫折しそうな雰囲気。

 

あとは、ドストエフスキーの白夜。こちらは気になっていた短編集だが、ぜんぜん面白くなくて、そっ閉じした。

 

やはり最近ハマっている川端に戻ろう。